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12月も半ばに入ってきて、気温はかなり下がってきた。
冬が主戦場の自分にとっては春までがずっと俺のターンという感じ、暑さだけはクソ。
転職準備も着々と進んで、引き継ぎ作業もほぼ終わったので退職日まではほぼ社内ニート状態に、ということなので久々に読書でもしてみるかということで今回選んだ本が君主論という流れ。
“君主論”、”マキャベリズム”みたいな言葉自体は知ってたけど、具体的にどういう思想なのかなんとなく気になったので読んだところかなり学びがあった。
というか、500年以上前の書物が現代でも評価されてるってことで人間の本質は何も変わってないんだなという証明にもなりますね。
それでは、君主論で学んだこと & 現代に活かせる主張・解釈をまとめていきます。
『君主論』(くんしゅろん、伊: Il Principe, イル・プリンチペ)は、1532年に刊行されたニッコロ・マキャヴェッリによる、イタリア語で書かれた政治学の著作である。
歴史上の様々な君主および君主国を分析し、君主とはどうあるものか、君主として権力を獲得し、また保持し続けるにはどのような力量(徳、ヴィルトゥ)が必要かなどを論じている。その政治思想から現実主義の古典として位置づけられる。- Wikipediaより
つまり、1500年代のカオスが入り混じってたイタリアの時代を生きてたマキャベリという男が書いた書物。
15〜16世紀イタリア & マキャベリ年表(Tree版)
ROOT
└── 15〜16世紀イタリアのカオス
├── 1469
│ ├── [M] ニッコロ・マキャベリ誕生(フィレンツェ)
│ └── [I] イタリアは都市国家が乱立
│ ├── フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノ、ナポリ、ローマ(教皇領)などがバラバラに存在
│ └── 各都市が同盟・裏切りを繰り返す前夜状態
│
├── 1494
│ ├── [M] まだ若手マキャベリ(20代)、混乱の現場を市民として体感
│ └── [I] フランス王シャルル8世がイタリアに侵攻(イタリア戦争の始まり)
│ ├── 都市国家同士&外国勢力の多重バトルロイヤル化
│ └── 「理想論じゃ生き残れない」現実がハッキリする
│
├── 1498
│ ├── [M] フィレンツェ共和国 第二書記官に就任(実質エリート官僚/外交官)
│ │ ├── 外交・軍事・行政にどっぷり関わる
│ │ └── 後の『君主論』『政略論』の素材を現場で収集しまくる期間
│ └── [I] サヴォナローラ政権崩壊後、フィレンツェは共和制フェーズへ
│
├── 1502〜1503
│ ├── [M] チェーザレ・ボルジアのもとに何度も派遣される
│ │ ├── マキャベリ的「理想の君主」像のモデルに
│ │ ├── 冷徹さ/決断力/恐れによる統治を目の当たりにする
│ │ └── 「悪をどう使うか」を現場で学んだタイミング
│ └── [I] ローマ教皇アレクサンデル6世 & 息子チェーザレが中部イタリアを再編成中
│
├── 1506
│ ├── [M] フィレンツェ民兵(国民軍)改革を推進
│ │ ├── 傭兵ではなく、自前の兵で国を守る構想
│ │ └── 後の「傭兵はクソ、自前の兵こそ正解」の実体験ベース
│ └── [I] 各都市国家が相変わらず傭兵に頼りまくり → 戦局が不安定
│
├── 1512
│ ├── [M] メディチ家がフィレンツェに復帰 → 失脚
│ │ ├── 役職を追われる
│ │ ├── 投獄・拷問も経験
│ │ └── 政治の無慈悲さを骨身に染みて理解
│ └── [I] フィレンツェ共和政が崩壊し、メディチ体制へ逆戻り
│
├── 1513
│ ├── [M] 失業状態で田舎暮らしをしながら『君主論』執筆(44歳前後)
│ │ ├── 実務経験+敗北経験+人間観を全部ぶっ込む
│ │ ├── メディチ家に捧げる形で「ガチ実戦マニュアル」として書く
│ │ └── ここでマキャベリズムが誕生
│ └── [I] イタリアは依然としてフランス・スペイン・教皇・諸侯が入り乱れる戦場
│
├── 1520年前後
│ ├── [M] ちょいちょい政治の相談役として召集されるが、完全復権はできず
│ │ └── 表舞台への完全カムバックは叶わないまま
│ └── [I] イタリア戦争は続き、外勢の介入がますます激化
│
├── 1527
│ ├── [M] マキャベリ死去(58歳前後)
│ │ └── 再び政治のど真ん中に戻ることなく、この世を去る
│ └── [I] ローマ略奪(サック・オブ・ローマ)
│ ├── カール5世軍によるローマ蹂躙
│ ├── イタリアの混乱が極まる象徴的事件
│ └── 同年、フィレンツェは再び一瞬だけ共和政に戻るが、長続きはしない
│
└── その後(ざっくり)
├── 16〜18世紀を通じて、イタリアは分裂状態が続く
├── 19世紀にガリバルディやカヴールらの統一運動でイタリア王国誕生
└── つまり、マキャベリの生きた「バラバラで介入されまくるイタリア」は
かなり長い期間、現代のイタリア成立まで尾を引くことになる
恐れられる方が、愛されるよりよっぽどいい。ただし憎まれるな。
これだけだとただのDV彼氏の主張みたいになるので、時代背景と本当の意味を噛み砕いて整理してみます。
まず前提として、マキャベリが生きた1500年代のイタリアは “国家”というより戦場の集合体というイメージが強かった。
- 都市国家同士が裏切り合い
- 外国(フランス・スペイン・神聖ローマ帝国)が介入
- 傭兵は金で裏切る
- 民衆は不安定で、明日の生活すら保証されてない
今のように人権や倫理が整備されてる時代じゃなくて、
「力が無い=滅ぶ」 が目の前に転がってる時代。
そんな環境で統治者(君主)に求められたのは、
“国を守り、民を生かすために、嫌な決断も実行できる強さ”。
その時にマキャベリが行き着いた思想が、”恐れられる方が、愛されるよりよほどいい“ということ。
“恐れ”は、
暴力的な支配とか、DVみたいな感情操作ではないというのがミソ。
マキャベリの言う恐れの本質は:
- 舐められない
- 勝手な行動は許さない構造
- 秩序を保つ力
ということ。
逆に“愛される”という状況は:
- 期待に応え続ける必要がある
- 人の気分で上下する
- 愛なんて不確実要素が大きいものなんて、都合が悪くなれば簡単に裏切られる・寝返る
という、不安定な支配方法ということらしい。
特に当時の民衆は
“利益がある間だけ君主を支持し、損をすれば即裏切る”
という存在だった。(今の時代の民衆もほぼ同じだけど)
整理してみると:
愛は民衆側が握ってる、そして恐れは君主側が握ってる
つまり、
愛は外部要因に左右されやすいけど、
恐れ(=秩序と統治力)は自分でコントロールできる。
だから恐れに基づく統治は安定するという主張らしい、なるほど。
これを抜くと誤解されがちなので注意。
マキャベリは “暴君になれ” と言ってるわけではないというのがミソ。
憎まれる君主は
- 暗殺される
- 反乱を起こされる
- 支持基盤が崩壊する
という悲惨な最後を迎えることがほぼ確なので、マキャベリはそれはやめとけと釘を刺してるそう。
“恐れ”は統治の安定装置、“憎しみ”は君主の寿命を縮める毒。
ここは現代の政治、組織でも完全に当てはまることだと自分はひしひしと感じました。
自分なりにまとめると:
- 甘さだけのリーダーは舐められる
- 気分で判断すると愛情はすぐ裏返る
- ルールに強制力が無い組織は崩壊する
- 誰でも守られる仕組み(恐れ)こそ安定を生む
エンジニア組織だと:
- コードレビューの厳格さ
- 責任範囲の線引き
- 問題行動には迅速な処置をする
- 感情だけで動くカスみたいなメンバーを野放しにしない、切る時は切る
当時のイタリアも、今の時代も本質は何も変わってない。
全部を事細かに整理すると膨大な文章量になるので、このコラムでは軽く整理するだけにとどめます。
もっと詳しく知りたい方は本を読むか、その他もっと事細かに解説してるブログなりYoutubeで動画をご覧ください。
自分的には、“愛されるより恐れられよ、ただし憎まれるな”の本質がわかればOKだと感じました。
というわけでその他紹介:
- 悪は一気に、善は小出しに
- 痛みを分割すると恨まれる、善を一括で与えるとすぐ忘れられる
- 大きな改革は短期間でまとめてやる
- 改善やメリットは小出しで継続するのが最適
- 傭兵はクソ(自前の兵が最強)
- 利害が一致していない者は裏切る
- 外注だけに依存すると核心が崩壊する
- 本当に重要な部分は内製化すべき
- 組織の武力=自社の人材
- 民衆(組織メンバー)は風向きで態度を変える
- 人間は利己的で、忘恩で、臆病 = 人間の本質は悪
- 愛は期待に依存するため裏返りやすい
- 恐れは構造として設計できるため安定する
- 「秩序」と「線引き」が組織を守る
- 新しい秩序を作る者は最大の抵抗に遭う
- 改革者は必ず嫌われる
- 現状維持勢力から強烈な反発を受ける
- 変化には痛みが伴うため、裏付け(恐れ)が必要
- 運命(フォルトゥーナ)と能力(ヴィルトゥ)
- 人生・政治・組織運営の50%は運ゲー
- 残りの50%は準備・判断力・行動力
- 運に流されず、機会を掴める力を養うことが重要
- 過去から学べ(歴史は最強の教科書)
- フィロポイメン(“最後のギリシャ英雄”)の教訓
- 常に 戦争の準備 をしていた
- 遠出中でも戦場を想定し、周囲の地形を観察して「ここで戦ったらどう動く?」とシミュレーション
- 日常から鍛錬しておくことで、いざ戦争になっても即対応できる
- 平時に考えない者は、有事に絶対勝てない」の象徴
- 他の将軍が遊んだり宴会してる時に、フィロポイメンだけは兵士の装備・陣形・訓練を改善していた
- これが“準備こそ最大の武器”というマキャベリの主張の根拠
- = 優れた君主は、平時こそ努力し、有事こそ冷静に動く
- 常に 戦争の準備 をしていた
- フィロポイメン(“最後のギリシャ英雄”)の教訓
- 善人である必要はなし、ただそう見られるようにしとけ
- 「現実の行動」と「外側の印象」は切り分けろ」というメッセージ。
- 統治者は冷徹な判断をしないと国が滅びる → 本質的には“善だけ”では生き残れない
- とはいえ“悪人”として見られると反乱・憎悪・抵抗が発生して統治不能になる
- だから君主は
- 内側:必要なときに悪を実行できる冷徹さ
- 外側:常に節度・柔和・寛大さを演出する
- この二面性が求められる
ふと読んでみようと思った哲学書?でここまで学びがあるとは思わず、大変ラッキー。
思想を全部自分に取り込むわけではないけど、個人的にはエンジニアとしてということに限らず今の社会を生きる上で実践できることが多いと感じたので、今後は心にマキャベリズムを宿しながら生きていこうと思いました。(もちろん憎まれないように)
今回は以上です、転職準備が忙しくなってるので、年末は実家に帰ってただグータラするだけにしたい。
